mECT (修正型電気けいれん療法)
修正型電気けいれん療法(Modified-Electroconvulsive Therapy:m-ECT)とは、脳に短時間の電気刺激を与え、けいれん発作と同じ変化を引き起こすことで、病気による症状を改善する治療法です。
約80年の長期にわたって、世界各国で広く行われ、効果や安全性がはっきりと認められています。当院での実績は年間約120例であり、多くの症例ではっきりとした症状の改善がみられています。
よくあるご質問
Q1どんな病気や患者さんが対象となりますか?
A1主に、重症の統合失調症・躁病・うつ病の患者さんを対象としています。
以下にあてはまるような方では、特にこの治療が推奨されます。
- いままで色々な薬の治療を試したけれど、病気が良くならない。
- 薬の治療では、強い副作用が出てしまう。
- 緊張、興奮、昏迷などによる身体の衰弱や、切迫した自殺の危険性があり、早急に症状を改善したい。
- 以前に電気けいれん療法を受けたことがあり、効果があった。
Q2『修正型』電気けいれん療法と、従来の電気けいれん療法では、何が違うのですか?
A2修正型電気けいれん療法の場合は、全身の筋肉をゆるめる薬をあらかじめ投与しますので、実際には身体のけいれんは起こりません。そのため、従来の電気けいれん療法に比べると、身体への負担がとても軽くなっています。
Q3痛みはありますか?
A3あらかじめ、片方の腕に点滴を入れ、全身麻酔をかけてから治療を行います。
両側のこめかみに電極のシールを張って電気刺激を加えますが、眠っている間に終わってしまうため、治療に伴う痛みはありません。
Q4『サイマトロン』とは何ですか?
A4サイマトロンとは、2002年よりあらたに認可された、パルス波を用いた通電装置のことです。
従来の通電法に比べると、1/2~1/3と少ないエネルギーの量で同じ効果が得られるため、脳に与える影響が大きく軽減されます。 当院では、このサイマトロンを使用した治療を行っています。
Q5治療によって起こる副作用・合併症にはどんなものがありますか?
A5一過性の意識もうろう状態や頭痛、その他に、頻度は少ないですが、心血管系合併症などが生じる可能性があります。ただし、基本的には非常に安全性の高い治療法です。当院では、さらに安全性を高めるために、麻酔科専門の医師を含め、複数の医師および看護師が共同で治療に当たっています。
Q6もともと身体の病気があるのですが、それでもこの治療を受けられますか?
A6脳血管や心臓の病気をお持ちの方は、修正型電気けいれん療法を行うことが出来ない場合もあります。そのため、治療を始める前に、頭のCTまたはMRI、心電図、レントゲンなどの検査を行い、安全に行えるかどうかを確認します。また、かかりつけ医をお持ちの方は、あらかじめ十分な相談が必要です。
Q7入院期間はどのくらい必要ですか?
A7病状や効果に応じて必要な回数は異なりますが、一般的には、4~12回の連続した治療を1コースとして行います。事前の薬の調整や検査を含め、全体では1~3ヶ月間の入院になります。その間、病状が安定していれば、外出や外泊は可能です。
Q8効果はどれくらい続くのですか?
A8残念ながら、電気けいれん療法による治療の効果は永久的なものではありません。1コースの治療が終了したあとは、薬の治療を続けるか、効果を維持するために、定期的に電気けいれん療法を行っていく方法もあります。
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